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「谷川岳プロジェクト始動」 町全体を観光地化

2011年03月27日 10:4 カテゴリー:総合
 草津、伊香保と並ぶ名湯・水上温泉を抱え、年間300万人を超える観光客が訪れていた旧水上町。だがこの10数年、入り込み客数は減少の一途をたどる。そんな中、豊かな自然環境を見つめ直し、新たな観光の流れを作り出そうという動きが活発化している。

■シンボル再確認
 2メートル近い積雪があるものの、明るい日差しが降り注いだ先月末。谷川岳ロープウエー・ベースプラザに80人近い町民が集まった。山岳関係者や宿泊事業者、商業関係者ら多彩な顔ぶれ。今年夏、谷川岳を起点としたイベントを計画している「谷川岳プロジェクト」の実行委員たちだ。
 今年は上越線清水トンネル開通80周年の節目の年。大型観光企画「群馬デスティネーションキャンペーン(DC)」も実施されることから、谷川岳の価値を見直すとともに、その魅力をより広くアピールしようと、住民らが昨年末に実行委をつくり準備を進めてきた。
 プロジェクトの基本的な部分は山岳関係者らが発案。しかし「谷川岳周辺にだけ人を集めるのではなく、温泉街を含めた町全体を周遊してもらう機会にできないか」といった意見が、山岳関係者から出され、広く住民に参加を呼び掛けることにした。
 土合駅近くでドライブインを経営する中島淳喜さん(41)は、呼び掛けに応じた1人。「町の状況を見ると、何とかしなければいけないという気持ちは、みんなが持っていた。けれど、なかなか行動に移せなかった」という。

■来客減に危機感
 旧水上町を訪れる観光客は、不況や自然災害、旅行ニーズの変化などを背景に、1995年の310万人をピークに減少。苦境に立たされる老舗旅館も少なくない。観光客の減少に伴い商店街も活気を失っており、住民の危機感は強い。
 「働く人も、そこに住む人も『何かしたい』『何かできないか』と思っている」。実行委の1人で水上温泉の大手ホテルに勤務する篠崎美由紀さん(44)はこう指摘。その上で「谷川岳は町のシンボル。それを核にすることで、地域全体が盛り上げることができるのではないか」と期待する。
 実行委はイベントの具体的な内容、観光客や登山者を周遊させるための仕掛け作りのアイデイアを練っている。雪解けとともに本格的な準備が始まる。篠崎さんは「訪れる人を明るく迎えられる町にしたい。イベントはそのきっかけになる。いや、しなければならない」と力を込めた。
 ただ、新たな取り組みで集客を図る動きが出てくる一方で、東日本大震災の影響を懸念する声が広がっている。町内でもイベントの中止が相次ぐなど、観光面で先行き不透明感が強まっており、今後難しい対応を迫られると指摘する関係者も多くなっている。
(2011年3月21日 上毛新聞)
合併メモ
 利根郡の8町村と沼田市は2003年1月に任意合併協を設立。沼田市長を会長に選び、利根沼田全域での合併を目指した。しかし、合併の仕組みをめぐって協議は二転三転。最終的には利根郡西部の月夜野町と水上町、新治村が合併することで合意した。
 合併した3町村だが、新町名で意見が対立。紆余曲折の末、この地を旅した歌人、若山牧水が記した「みなかみ紀行」にちなんで、平仮名の「みなかみ」とすることで合意。05年10月に合併した。


視点  地域や立場を超え連携を
 旧水上町の基幹産業は温泉を中心とした観光だ。かつての勢いを失った観光の立て直しが、町の大きな課題となっている。
 町は財産である自然環境を保全とするとともに、観光に生かしていく方法を模索。アウトドア・スポーツの振興やエコツーリズムの推進に力を注ぐ。一方、地域や立場を超えて、住民が手を携えて始めた試みもある。谷川岳プロジェクトもこうした取り組みの延長線上にある。
 課題はこうした取り組みを、一過性のイベントで終わらせるのではなく、今後に生かしていくことができるかどうかだ。長く続けていける仕組み、観光関係者だけでなく、より多くの住民が参加できる仕組みを作ることが必要。こんなことも考えながら準備を進めてほしい。
(沼田支局 小林聡)

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